強心配糖体のドラッグリポジショニング:がん転移抑制効果の可能性 | KusuriJapan
心不全治療薬として古くから使用されている強心配糖体(ジゴキシンなど)が、特定のがん細胞に対して転移抑制効果や抗腫瘍効果を持つことが示唆され、再評価されています。
HIF-1α経路の阻害がん細胞は低酸素環境に適応するために低酸素誘導因子-1α(HIF-1α)を発現しますが、強心配糖体はこのHIF-1αの合成を阻害することが報告されています。これにより、血管新生や解糖系への代謝シフト、上皮間葉転換(EMT)などの転移関連プロセスを抑制する可能性があります。Na+/K+-ATPaseの阻害と細胞死強心配糖体の標的であるNa+/K+-ATPaseは、細胞内シグナル伝達のハブとしても機能しています。このポンプの阻害に伴う細胞内カルシウム濃度の変化やシグナルカスケードの修飾が、がん細胞特異的なアポトーシスやオートファジー(免疫原性細胞死)を誘導するメカニズムとして研究されています。臨床応用に向けた課題治療域が狭い薬剤であるため、抗腫瘍効果を発揮する用量での心毒性リスクが最大の課題です。副作用を軽減しつつ抗腫瘍活性を高めた新規誘導体の開発や、他の抗がん剤との併用療法が模索されています。