卵巣がん腹膜播種における腹水環境:脂肪酸代謝と免疫逃避機序 | KusuriJapan
卵巣がんの腹水中に含まれる脂質成分が、がん細胞の増殖を促進すると同時に、抗腫瘍免疫を抑制することが明らかになりました。腫瘍微小環境を標的とした新たな治療戦略が模索されています。
腹水中の脂質代謝異常進行卵巣がん患者の腹水には、遊離脂肪酸やリゾリン脂質などの脂質メディエーターが高濃度に含まれています。がん細胞はこれらの脂質を取り込み、β酸化を通じてエネルギー源とすることで、低酸素・低栄養環境下でも生存・増殖能力を高めています。免疫抑制微小環境の形成最新の研究により、腹水中の脂質成分が、樹状細胞の機能不全を誘導し、制御性T細胞(Treg)の分化を促進することが示唆されています。また、細胞傷害性T細胞(CD8+ T細胞)の脂質過負荷は、ミトコンドリア機能障害を引き起こし、抗腫瘍活性(疲弊)を低下させる要因となります。治療への応用可能性脂質代謝経路の阻害剤や、脂質による免疫抑制を解除する薬剤の開発が進められています。これにより、既存の化学療法や免疫チェックポイント阻害薬の効果を増強できる可能性があります。