膵臓がんにおける新規治療標的:転写-複製衝突(TRCs)の誘導による細胞死 | KusuriJapan
難治性の膵臓がんに対し、細胞内の「転写」と「複製」のプロセスが衝突する現象(TRCs)を利用した新たな治療戦略が報告されました。KRAS変異を持つがん細胞特有の脆弱性を突くアプローチです。
複製ストレスとTRC細胞分裂が盛んながん細胞では、DNAの複製と遺伝子の転写が同時に行われる頻度が高く、これらの機構がDNA上で「衝突」する(Transcription-Replication Conflicts: TRCs)リスクを抱えています。この衝突はDNA損傷を引き起こし、細胞生存を脅かす「複製ストレス」となります。KRAS変異細胞の脆弱性膵臓がんの多くに見られるKRAS変異を持つ細胞は、既に高い複製ストレス状態にあります。研究チームは、このストレスをさらに増幅させることで、がん細胞の修復能力を超えさせ、選択的に細胞死(アポトーシス)へ誘導する手法を見出しました。新規分子標的薬への期待このメカニズムに基づく薬剤は、正常細胞への影響を抑えつつ、複製ストレスの高いがん細胞を特異的に攻撃できる可能性があります。予後不良な膵臓がんに対するブレイクスルーとして、創薬への応用が期待されています。